軍事的合理性 2013 2 3
書名 尖閣を守れない自衛隊
著者 北村 淳 宝島社新書
最近、本や週刊誌、あるいは月刊誌で、
「東シナ海で、日本と中国が戦えば」という特集が増えました。
しかし、これは、軍事的合理性を無視した議論です。
仮に、東シナ海で、日本の自衛隊と中国軍が戦えば、
中国軍に大きな被害が出るはずです。
中国の軍事指導者が、
このような損失の大きい戦いを考えることはないでしょう。
軍事的合理性で考えれば、
中国内陸部から、20発から30発、弾道ミサイルを発射する。
(念のため、数百発の巡航ミサイルも発射するでしょう)
これで、中国の圧勝となるでしょう。
わざわざ、核ミサイルを使う必要はありません。
通常型の弾道ミサイルで十分です。
もちろん、実際に弾道ミサイルを打ち込んだら、
日本の価値が失われてしまうので、
「弾道ミサイルを打ち込むぞ」と恫喝するでしょう。
それは、なるべく日本を無傷のまま手に入れたいからです。
ただし、こうした恫喝が通用しない可能性があります。
日本には、「何もしなくても平和が永久に続く」と考える、
空想的平和主義者が、かなり多いからです。
こうした恫喝が、空想的平和主義者に対して理解されないと、
軍事的合理性は、空振りに終わってしまいます。
そこで、このような恫喝が本物であると、
空想的平和主義者に理解させるために、
中国軍は、宮古島を占領するでしょう。
多くの日本人は、「そんな馬鹿な」と思うでしょうが、
宮古島ならば、軍事的には、簡単に占領できます。
そして、自衛隊には、占領された島を奪還する装備がありません。
仮に、そのような装備をあわてて購入したところで、
訓練しなければ、使いこなせないでしょう。
結局、占領が長く続くかもしれません。
「アメリカ軍は、なぜ助けてくれないか」と思いましたか。
それは、どこのアメリカ軍でしょうか。
反米で固まった沖縄県に属する宮古島を取り返すのは、どこのアメリカ軍でしょうか。
占領された島を取り返すのは、海兵隊の担当です。
さて、中国は、日本を無傷のまま手に入れて、
最終的には、何がしたいのか。
それは、「アメリカ打倒」です。
世界史において、中国が世界の中心だった時代は、多いのです。
むしろ、今の中国が、不自然な状態です。
「そんな大昔のことを持ち出しても困る」と思ったでしょうか。
しかし、それは、そんな大昔ではありません。
何もモンゴル帝国まで遡る必要ありません。
清朝の乾隆帝の時代は、中国は、唯一の超大国だったのです。
その後の歴史は、工業力と科学技術を発展させた欧米の「歴史」となりました。
非対称の時代 2013 1 14
私が発展途上国の軍事指導者だったら、こう考えます。
「残念ながら、わが国では、工業力の塊である戦車を作ることはできない。
戦闘機だって同じである。
機体を真似て作ることはできても、高性能なジェットエンジンは作れない。
艦船も同じだ。
外見を真似て作ることはできても、高出力のエンジンは作れない。
さあ、どうするか。
もはや、わが国は先進国に勝てないのか。
ちょっと待て。
安価な対戦車ミサイルで、高価な戦車を撃破できると聞いたことがある。
そうだ。
わが国でも、ミサイルならば開発できる。
対戦車ミサイルどころか対艦ミサイルや対空ミサイル、
いや弾道ミサイルだって作れる。
さすがに米国まで届く長距離ミサイルは技術的に難しいが、
近距離の弾道ミサイルだったら、100発でも200発でも作れる。
こうしたミサイルを大量生産できる」
このように発展途上国の軍事指導者は、現実的に考えますが、
先進国の軍事指導者は、相変わらず、
戦車対戦車、戦闘機対戦闘機、艦船対艦船の戦いを想定しています。
実に、非対称の時代になったものです。
そう言えば、昔も似たようなことがありました。
日本海軍は、戦艦対戦艦の戦いを夢見て、
世界最大の巨大戦艦「大和」を建造しましたが、
時は、空母の時代、いや航空戦力の時代になっていました。
国民からは、ミサイル時代になっても、
日本には、ミサイル防衛システムがあるから大丈夫だという安全神話が出てきそうです。
しかし、ミサイル防衛システムというものは、
技術力の誇示には有効でも、実用性はありません。
理想的な条件が揃えば、ミサイル防衛システムは有効かもしれないというレベルです。
では、対応策はないのか。
これは、何度も書いていますが、
相手国が弾道ミサイルを開発したら、自分の国も弾道ミサイルを開発することです。
それができないならば、次善の策として、
巡航ミサイルを500発程度用意することです。
潜水艦発射型でも駆逐艦発射型でもいいでしょう。
今、日本がしなければならないことは、
最新鋭の戦車を作ることでもなく、最新鋭の戦闘機を買うことでもありません。
弾道ミサイルや巡航ミサイルこそ、日本に必要なものです。
固体燃料ロケット 2012 12 2
2012年10月29日の産経ニュース電子版には、このようなニュースがあります。
新型ロケット「イプシロン」来夏打ち上げ
宇宙航空研究開発機構は10月29日、
開発中の新型固体燃料ロケット「イプシロン」1号機を、
来年8月から9月に内之浦宇宙空間観測所から打ち上げる計画を明らかにした。
(中略)
点検作業をコンピューターで自動的に行うことで、
打ち上げまでの準備期間を大幅に短縮。
低コストで機動的に小型衛星を打ち上げ、国際競争力を高める。
イプシロンは、「はやぶさ」などを打ち上げ、
2006年に引退したM5ロケットの後継機。
全長約24メートルで、
地球を周回する軌道に1.2トンの小型衛星を打ち上げられる。
(引用、以上)
私は、2012年4月15日に「空中発射型ロケット」という文章のなかで、
このようなことを書きました。
「最近は、固体燃料ロケットの話は、
あまり聞かなくなったと思います。
今は、液体燃料ロケットが主流だからです。
『固体燃料ロケットの時代は終わった』と言う人までいます。
しかしながら、日本にとっては、
完成された技術である固体燃料ロケットを活用すべきだと思います。
しかも、日本には、火薬メーカーや化学メーカーが多数存在します。
(中略)
日本では、株式会社IHIエアロスペースが、
日本を代表するロケット飛翔体の総合メーカーであると同時に、
世界に数社しかない固体燃料ロケット開発メーカーでもあります。
同社は、主として固体燃料ロケット(ロケットモーター)技術を応用し、
各種宇宙用ロケットの開発及び防衛用ロケットの開発と製造を行っているそうです」
(以上)
新型固体燃料ロケット「イプシロン」には、大いに期待しますが、
「空中発射型ロケット」についても研究すべきでしょう。
空中発射型ロケット 2012 4 15
日本の固体燃料ロケットの歴史は古いと言えます。
糸川英夫博士が率いる東京大学生産技術研究所を源流とする、
宇宙科学研究所が先駆的な役割を果たしたペンシルロケットが有名でしょう。
その後、1970年には、全段固体ロケットであるL-4Sロケットで、
日本発の人工衛星「おおすみ」を打ち上げ、
1985年には、M-3SIIロケットによる世界初となる全段固体ロケット
人工惑星「さきがけ」を誕生させました。
「さきがけ」は、ハレー彗星探査を行う宇宙探査機でした。
(以上、ウィキペディアから引用)
最近は、固体燃料ロケットの話は、
あまり聞かなくなったと思います。
今は、液体燃料ロケットが主流だからです。
「固体燃料ロケットの時代は終わった」と言う人までいます。
しかしながら、日本にとっては、
完成された技術である固体燃料ロケットを活用すべきだと思います。
しかも、日本には、火薬メーカーや化学メーカーが多数存在します。
「空中発射型の固体燃料ロケット」は、どうでしょうか。
小型の人工衛星を打ち上げるには、
液体燃料ロケットでは、コストが高すぎます。
そこで、「空中発射型の固体燃料ロケット」の出番があると思います。
日本では、ボーイング787の導入で、
ジャンボジェットのB747が不要になると思います。
そこで、B747を改造して、
空中のロケット発射基地とするのです。
(この話は、エアワールド2006年6月号に出ているそうです)
日本では、株式会社IHIエアロスペースが、
日本を代表するロケット飛翔体の総合メーカーであると同時に、
世界に数社しかない固体燃料ロケット開発メーカーでもあります。
同社は、主として固体燃料ロケット(ロケットモーター)技術を応用し、
各種宇宙用ロケットの開発及び防衛用ロケットの開発と製造を行っているそうです。